腸内フローラ.com|未踏の世界へ:腸内細菌で難病治療へ 慶応大教授・本田賢也さん

腸内フローラ.com | 未踏の世界へ:腸内細菌で難病治療へ 慶応大教授・本田賢也さん

人の腸内には1000種類もの細菌がいる。近年、この腸内細菌が糖尿病やアレルギー、自閉症など、さまざまな病気に関係していることが分かってきた。2013年、腸内の特定の免疫細胞を増やす17種類の細菌を発見したのが本田さんだ。この細菌すべてを混ぜたものを潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患の患者に飲んでもらい、効果を調べる臨床試験が米国で近く始まる。
20代のころ、京都大で研究する傍ら、消化器内科医として働いた。炎症性腸疾患は腸に潰瘍などができて下痢や腹痛などが続く難病だ。「当時は鼻から栄養分を入れる食事療法が中心で、好きなものが食べられない。若い人に多く、『将来に希望が持てない』との声を聞き、何とかしたいと思った」と話す。
炎症性腸疾患は、過剰な免疫反応が原因と考えられている。免疫細胞の中には腸にだけ多く存在するものがあるため、腸内細菌が関係していると考え、07年から本格的に研究を始めた。腸内に細菌のいない「無菌マウス」にさまざまなマウスの腸内細菌を飲ませる実験を重ね、東京大准教授だった11年、「クロストリジウム属」の菌が、免疫抑制に欠かせない「制御性T細胞」を強力に増やすことを見つけた。免疫を抑制できれば治療や予防につながる。
論文が米科学誌サイエンスに掲載されると、信頼する米国の研究者から「臨床応用を目指して発展させよう」と誘われた。早速、健康な日本人の便から分離した細菌を無菌マウスに投与する実験を繰り返し、制御性T細胞を増やすヒトの腸内細菌17種を突き止めた。すべてクロストリジウム属の菌で、マウスに与えると腸炎や下痢を抑えた。
「炎症性腸疾患の人は、腸内細菌の種類が健康な人より2割ほど少ない。遺伝子解析技術の進歩による大規模研究で、腸内細菌のパターンは国や地域で異なり、食事や抗生物質の影響が大きいことも分かってきた。免疫系だけでなく、肥満にかかわる菌など、できるだけ多くの菌の働きや特徴を見つけて役立てたい」
引用元:毎日新聞

↑ PAGE TOP