腸内フローラ.com|健康な腸内フローラは院内感染から守ってくれる、抗生物質によって感染しやすい体に

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健康な腸内で、病院内で感染が広がって問題となる「クロストリジウム・ディフィシル菌」と呼ばれる細菌による感染を防ぐ役割として、「腸内細菌」が注目されている。 このたび複数の腸内細菌について、その有効な組合せが分かるコンピューターモデルが開発された。
抗生物質で院内感染しやすくなる

米国ミシガン大学の研究グループが、エムバイオ(mBio)誌で2015年7月14日に報告した。 研究グループによると、毎年1万5000人の死亡者を出していると言われる、院内感染で問題となるクロストリジウム・ディフィシル菌。 クロストリジウム・ディフィシル菌に感染する最も大きなリスク要因が抗生物質の投与であるという。抗生物質により、健康的な腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)が変化する。この変化から細菌への抵抗性が落ちるのではないかと考えられている。なお、叢は草むらの意味で、花畑になぞらえて、腸内フローラとも呼ばれている。腸内フローラと抗生物質には関係があるという指摘は増えている(抗生物質には未知の悪影響、「デブ菌」「ミトコンドリア」「スーパーバグ」など関係?!を参照)。 抗生物質の投与により、どのように腸内フローラが変化し、クロストリジウム・ディフィシル菌に感染しやすくなるのか仕組みはよく分かっていない。 研究グループはネズミの腸内フローラを抗生物質で治療した場合の変化と、この細菌への感染しやすさとの関連を調べた。
感染性をもたらすのは単一の細菌種ではない

研究グループはネズミの置かれる条件を変えながら、8種類の抗生物質を使って正常な腸内フローラがどう変化するかを調べた。 研究グループが想定したように、腸内フローラの内容は変化した。腸内細菌の内訳を見ると、細菌によって増減が認められた。 クロストリジウム・ディフィシル菌への感染のしやすさの観点では、腸内細菌の集まり全体の変化が影響していると見られた。どれか単一の種が感染から守ったり、逆に感染のしやすさにつながったりしているわけではない。個別に調べるというよりは、全体のバランスに注目する意味がある。
データから予測モデルを作製

研究グループは、得られたデータに基づいて、特定の腸内細菌叢からの変化によってクロストリジウム・ディフィシル菌への感染のしやすさはどう変化するか、90%の精度で予測できるコンピューターモデルを構築した。 このモデルから、「抵抗力」につながるいわば「善玉」の腸内細菌がいくつか浮かび上がった。ポルフィロモナス、ラクノスピラス、ラクトバチルス、アリスティペス、ツリシバクターといった仲間の細菌。善玉の腸内細菌が少なくなると、抵抗力は弱まる。 逆に、感染のしやすさにつながる「悪玉」の腸内細菌は、エシェリキアまたはストレプトコッカスだった。 それぞれの抵抗力、感染のしやすさにつながる腸内細菌の1種類の変化ではなく、複数の腸内細菌が関わりあって影響が出てくる。
将来は「プロバイオティックス」にも

今後、特に抗生物質を服用している場合には、便検体を調べ、どのような腸内細菌が欠如しているかを見る意味も出てきそうだ。感染リスクをあらかじめつかめる。 さらには、腸内フローラを回復させるような腸内細菌を善玉に変える「プロバイオティックス」と呼ばれる予防対策も取れるかもしれない。 腸内細菌のコントロールは当面注目されそうだ。

文献情報
Multiple, Co-existing Groups of Gut Bacteria Keep Clostridium difficile Infections at Bay http://www.asm.org/index.php/asmupdates/601
引用元:Medエッジ

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