腸内フローラ.com|便秘大敵! 腸を制するものは自律神経を制す

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「腸内フローラ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは、人間の腸の中に存在する1000種類以上、100兆個もの細菌の総称で、「腸内細菌叢(さいきんそう)」とも呼ばれます。最近の研究で、その状態が私たちの体や心にさまざまな影響を及ぼすことが分かってきました。自律神経もその例外ではありません。

 私たちの体は60兆個の細胞で構成されています。これら一つ一つが正常に機能するように、血液は酸素と十分な栄養を細胞に送り届けます。
質のよい血液を作るためには、体内に取り入れた食物から栄養素を分解・吸収しなくてはなりません。この役割を担い、栄養豊かな血液を作るのが腸管で、栄養分の分解・吸収を正しく行えるかどうか、質の高い血液を作れるかどうかは、腸内環境がカギを握っているのです。
そして、質の高い血液が流れることで腸が内容物を動かす「ぜん動運動」が活発になり、副交感神経が活性化します。

人間の血管はトータル10万kmで、地球を2周以上する長さです。自律神経は、その膨大な長さの血管すべてに沿って走り、体のライフラインである血流を支配しているのです。血液の質を決める役割を担う腸内環境と、その血液を全身にめぐらせる血流をコントロールしている自律神経。この二つは相互に作用しあって機能しています。自律神経のトータルパワーをアップさせる一つめのカギは、腸内環境を整えることです。

 それでは、腸内環境を整えるにはどうすればよいでしょうか。見直してほしいのが毎日の「食事」です。

悪玉菌の増加が腸内環境を悪化させる

 腸内環境は、細菌のバランスによって決まります。腸内に存在する細菌のうち、善玉菌が2割、悪玉菌が1割、日和見菌が7割です。日和見菌は、善玉菌が増殖すると善玉菌に、悪玉菌が増殖すると悪玉菌になる性質を持っています。食物から栄養を分解・吸収するには腸内細菌が必要不可欠です。腸の中で悪玉菌が増えると、代謝機能が低下して体に必要な栄養素が腸内で消化・吸収されず、低栄養状態になってしまいます。さらに、腸内には吸収できなかった栄養分が残り、腐敗します。腐敗した栄養分は毒素を出し、消化管から門脈をわたって肝臓に行き、そこから心臓、全身にまわってしまいます。

 悪玉菌は、バランスの悪い食生活、ストレスの多い生活などにより増え、腸内環境は悪化します。加齢により善玉菌であるビフィズス菌の数が減少する中高年は、悪玉菌が増え始め、日和見菌が悪玉菌に変わりやすい状態なので、特に注意が必要です。

食事から変えていきましょう

 善玉菌を増やすために大切なのは、食事の回数と時間です。腸への刺激のために1日3回、規則正しく食事を取りましょう。腸はとてもおもしろい臓器で、刺激が加わると動く性質を持っています。体のリズムを考え、6時間おきに食事をするのが理想です。また、朝食はしっかり、夜は軽く、が基本です。腹七〜八分目で、できるだけゆっくり時間をかけて食べましょう。

 アミノ酸、良質の脂質、炭水化物、ビタミンやミネラルを含んだバランスの良い食事を取ることも大切です。積極的に取ってもらいたいのが、乳酸菌を含む発酵食品、そして食物繊維です。食物繊維は善玉菌の栄養源です。第二次世界大戦の直後と現在では、食事の摂取カロリーはほぼ同じにもかかわらず、食物繊維の摂取量は当時の約3分の1。1日25gの食物繊維が必要ですが、現代の日本人の摂取量は10g未満と非常に不足しています。根菜や海藻類、キノコ類などを積極的にメニューに取り入れましょう。

便秘と自律神経の深い関係

 重度の便秘になってしまうと、腸内環境はなかなか改善されません。というのも、腸内の悪玉菌が優勢だと便秘になりやすく、便秘になると悪玉菌が優勢になるという悪循環に陥ってしまうからです。私が担当する便秘外来が現在7年半待ちであることからも、便秘に悩んでいる人がいかに多いかがわかります。便秘外来では、ビフィズス菌や乳酸菌などの成分を含む整腸剤を処方します。腸内の善玉菌を増やすのに役立つ乳酸菌を多く摂取することで、便秘によって増えてしまった悪玉菌を減らし、善玉菌を増やす手助けをするのです。

 便秘とは、腸の内容物を移動させる機能が低下し、便の排せつがうまくできなくなっている状態です。自律神経のバランスが崩れると重度の便秘になります。便秘外来に来られる人の自律神経を測定すると、かなりの確率で交感神経もしくは副交感神経に大きく偏っていますが、そのほとんどは交感神経が極端に優位な状態です。そして、腸内環境がいいと自律神経のバランスが整うことが証明されています。

 つまり、自律神経のバランスのいい人は腸の調子が良く、悪い人は腸の状態も悪い。逆もまたしかりで、腸の状態のいい人は自律神経のバランスが整いやすく、腸の状態の悪い人は自律神経のバランスも整いにくいということです。
<参考>
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