腸内フローラ.com|遺伝子、食物繊維、腸内細菌の3つに意外な関係、腸内フローラの新しい研究

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引き続きネイチャー誌の腸内細菌特集増刊で紹介されている最先端を紹介していきたい(「腸内フローラ」ネイチャー誌が特集増刊、慶応大の本田賢也氏らの17の菌治療が実用目指すを参照)。  肥満と腸内細菌の関係は分かりやすい、Medエッジであえて分かりやすい言葉で紹介したのだが、「デブ菌」だ。その存在によって体重が増えるという現象は世界に衝撃を与えた(どうやら「デブ菌」が現実に存在するらしい、肥満者の糞便移植で受けた人が急速に肥満にを参照)。  腸内細菌の集合体は体質に影響する。 遺伝子も影響する腸内細菌  繰り返すと、腸内細菌の集まりを叢(くさむら)になぞらえて腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)と言ったり、花畑(フローラ)になぞらえて、腸内フローラなどと呼んだりする。海外では、腸内細菌の全体という意味で、「マイクロバイオーム(microbiome)」と呼ぶのが主流になりつつあるようだ(人体は「マイクロバイオーム」を内蔵する生態系、腸内フローラ、腸内細菌叢の世界を参照)。  さらに、人間側の遺伝子の突然変異が腸内細菌の集合体を変化させるといった変わった事例も確認されているようだ。 双子の腸内細菌は似ている  人間の遺伝子の突然変異が腸内のマイクロバイオームに作用し、その結果、病気のリスクが高まっていく。さらに、実際に病気の引き金になる。  コロラド大学デンバー校の研究グループは、ネズミを使って、ネズミの「NOD2」と呼ばれる遺伝子の突然変異によってマイクロバイオームが変化し、「炎症性大腸炎」の発症リスクが高まったという事実を報告している。  さらに、キングス・カレッジ・ロンドンで行われた500組の双子を対象とした最近の研究によると、遺伝的に完全に同一の双子は、普通の兄弟のように遺伝的に違いがある二卵性の双子と比べてマイクロバイオームが似通っていると示された。遺伝子がマイクロバイオームに影響を与えているのはここからも分かる。 太る菌もあれば、痩せる菌もある  また、ある腸内細菌、特に「クリステンセネラ・ミヌータ(Christensenella minuta)」という細菌が、人間の体型にも影響する可能性があると分かった。  無菌マウスは元々痩せているが、太った人間からの糞便を移植して、マイクロバイオームを与えると、マウスは1、2日のうちに丸々と太った。  ところが移植する糞便にクリステンセネラ・ミヌータを加えるとマウスは太らなかった。明らかになったのは、クリステンセネラ・ミヌータは脂肪の吸収に影響するということ。人間では、クリステンセネラ・ミヌータを持つ人は、太った人よりも痩せた人に多い。  人間の遺伝子が、腸内のマイクロバイオームに影響して、ひいては個々人の体型にも影響する可能性がある。 食物繊維を分解したものが健康に  どうやって腸内細菌は体質に影響するのか。食物繊維の影響が指摘されている。  ネイチャー誌の特集増刊号でさらにそのあたりも紹介している。  私たちの腸の中には、何兆個もの微生物がいて、私たちが食べる物を「食べている」。豆類や穀物、果物、野菜に含まれる水溶性の食物繊維を発酵分解する。  食物繊維の発酵分解による副産物は、腸の内壁の細胞に栄養を与え、一部の副産物は血管の中に入って免疫を調整する。ぜんそくやクローン病(消化器の炎症)のような炎症性疾患を防ぐ。短鎖脂肪酸と呼ばれる分解されて出てくるもので、食欲を抑える効果もあると分かってきている(なぜ食物繊維は健康にいいのか、秘密は腸内にを参照)。  食物繊維はもともと健康につながるという見方はされていたが、腸内細菌の観点から、あらためて注目されている。 発酵が大切に  腸内細菌はいろいろな食べもの発酵させて、化学物質を副産物として出している。この化学物質が人間の免疫を変えていると注目されている。  体内で免疫を担う細胞「制御性T細胞(せいぎょせいてぃーさいぼう)」という名前の細胞を増やして、炎症から守るという考え方だ。免疫系の攻撃力が過剰にならないようにしている。  「フィーカリバクテリウム・ プラウスニッツィ(Faecalibacterium prausnitzii)」と呼ばれる菌を含めた善玉菌がこの役目を果たしている。粘液層にコロニーを形成しており、発酵により「酪酸エステル」をはじめとする副産物を作り出している。酪酸エステルは「短鎖脂肪酸」と呼ばれている短い分子から成る化学物質だ。制御性T細胞を増やしている。  このフィーカリバクテリウム・ プラウスニッツィイや他の同じような働きをする微生物がいなくなると、炎症性腸疾患や肥満などの病気になりやすくなる。仲間であるクロストリジウム属の腸内細菌も同じような機能を果たしている。  今後の研究では、人間と腸内細菌の遺伝子の関係、マイクロバイオームの変化によってどう病気を押さえ込むかといった研究はさらに進むと見られる。さらに、ネイチャー誌の特集から動きを見る(Medエッジの腸内細菌のタグの付いた記事一覧はこちら) 文献情報 Ley RE et al.The gene-microbe link.Nature. 2015;518:S7. http://www.nature.com/nature/journal/v518/n7540_supp/full/518S7a.html


引用元:Medエッジ

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