腸内フローラ.com|寿命まで左右する!驚異の「腸内フローラ」

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「腸内フローラ」というものをご存じでしょうか。

私たちの腸には約3万種類、1000兆個に及ぶ細菌類がすんでいます。重さにすると1.5キログラムから2キログラムにもなります。私たちの体を構成している細胞は60兆個ですから、その16倍近くの生き物が私たちのおなかの中にすんでいることになります。

私たちの腸の長さは約10メートルです。それを広げるとテニスコート1面分にもなります。そこに、まるでお花畑のように腸内細菌が生息しています。

腸内細菌類のことを「腸内フローラ」と言いますが、「フローラ」とはお花畑を意味し、細菌類が作る集落が色鮮やかで、形がとてもきれいだからです。

「腸内フローラ」が美しいのは、腸内細菌類が「縄張り」を主張しているからです。新たに侵入してきた菌に対しては、「腸内フローラ」を形成している細菌類が盛んに攻撃を繰り返します。「腸内フローラ」間の緊密な連携によって免疫系が活性化しており、それが病原菌などの新たに侵入してきた菌を排除しているのです。

この「腸内フローラ」を構成している腸内細菌は、私たちの体を多方面から助け、病気にならないように、また、老化を防ぐように働いていることがわかっています。

腸内細菌の働きには、以下の5つの作用があることが知られています。まず、①腸内細菌は病原体の体内侵入に際して、それを排除するように働きます。②私たちの体は食物繊維などを消化する能力はありませんが、腸内細菌がそれを消化してくれます。③ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンKなどのビタミン類も腸内細菌が作ってくれています。

さらに、④腸内細菌は幸せ物質であるドーパミンやセロトニンを合成し、その前駆体を脳に送っています。そして⑤免疫力のおよそ70%が腸内細菌と腸粘膜細胞との共同作業で作られていると言います。

腸が原因とされる病気が、脳から心臓、そして関節まであらゆる部位に及ぶとされているのは、このような腸内細菌の働きがあるからです。まさに腸の不調、つまり「腸内フローラ」のバランスを崩すと、万病を引き起こすというわけです。逆に「腸内フローラ」のバランスを整え、腸を健全にすれば病気を予防し、健康になり、寿命を延ばすことができるのです。

日本人の腸内細菌数が減っている


日本人の腸内細菌数は戦前に比べて、とても少なくなっています。「腸内フローラ」のバランスも崩れていて、日本人の腸年齢も老化してきています。腸内細菌のエサである野菜や豆類、食物繊維の摂取量が減ってきたからです。 日本人の野菜消費量は1985年、1人当たり年間110.8キログラム、そして1999年には102.8キログラムまで低下しています。食物繊維の摂取状況は、戦前の約3分の1の量にまで減少しています。

日本人の腸内細菌が減少した要因は、このほかにもいろいろ考えられます。添加物が使われている食品を摂取する機会が増加したことや、食生活の乱れ、ストレスの多い現代の社会環境も関係していると思われます。

腸内細菌が減少し、腸内フローラのバランスが崩れることによって、起こる病気はたくさんあります。たとえば免疫力が低下し、アトピーやぜん息、花粉症などのアレルギー性疾患が起こってきます。また、がんの発生を促します。最近、増えてきた潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患も発生しやすくなります。

ドーパミンやセロトニンなどの「幸せ物質」を脳に送れなくなり、うつ病をはじめとするいろいろな心の病気も起こってきます。そればかりでなく、肥満や糖尿病、認知症や自閉症まで、「腸内フローラ」の乱れが関係していることが最近の研究でわかっています。

なぜ、こんなに多くの病気が「腸内フローラ」のバランスの乱れによって起こってくるのでしょうか。その理由は、腸内細菌の働きが低下することに加え、「腸内フローラ」が体内時計と連動しているからです。

「腹時計」とは、おなかのすき具合から時刻の見当をつけることです。時計がなかった時代には天体の動きとともに、人は腹時計で時間を感じていました。この腹時計は体内時計を整えるために、光刺激とともに重要であることを前回の記事でお話しました。

近年の研究によると、体内時計の乱れは、肥満になりやすい体をつくり、高血圧、糖尿病、脂質異常症の原因になることがわかってきました。加えて、骨粗鬆症を悪化させることも明らかになっています。その原因の第一は、腹時計を調節している「腸内フローラ」の乱れです。

そして、もうひとつの重要な原因が、最近、明らかになってきました。脳の奥にある「親時計」が、体のあちこちにある「末梢時計」と協調して働いていて、体内時計の親時計が乱れれば、末梢時計も乱れ、体のいろいろな臓器に病変が起こってくることがわかったのです。

最近、肝臓や膵臓などの臓器、脂肪組織にまで多数の局所的な末梢時計が存在することが明らかになってきました。これらの末梢時計のいずれかが親時計とズレると、肥満や糖尿病、うつ病、そのほかの病気が発生しやすくなります。食事や睡眠のタイミングがいつも不適切であると、これらの末梢時計のタイミングが脳の親時計とズレてしまい、いろいろな病気が発生するというわけです。

腸は睡眠リズムにも影響を及ぼす


「腸内フローラ」のバランスは、よい睡眠も誘導します。睡眠に関するホルモンに「メラトニン」があります。メラトニンがしっかり分泌されていれば、睡眠の満足度が高まり、朝も気持ちよく起きられるようになります。加えて、メラトニンは抗酸化作用が強く、「若返りホルモン」とも呼ばれています。

メラトニンは脳内で分泌されるホルモンですが、材料となる前駆体は腸で作られます。つまり、腸内フローラがバランスよく存在しないと、メラトニンの脳内分泌量が減少することになります。

メラトニンの材料となるアミノ酸はトリプトファンという必須アミノ酸です。このトリプトファンは葉酸やナイアシン、ビタミンB6などのビタミン群の作用でセロトニンの前駆体を作ります。そして、このビタミンB6をはじめとするいろいろなビタミン類は、腸内細菌が作っているのです。

こうしたことから、メラトニンの合成には腸の健康がとても大事であることがわかります。腸が元気であれば、腸内フローラが豊かに保たれ、ビタミン群の合成力が高まります。その状態のときに、肉や魚、卵などのタンパク質が入ってくると、メラトニンの分泌量を増やせるのです。

メラトニンの前段階であるセロトニンは、人間の精神面に大きな影響を与える神経伝達物質で、心のバランスを整える作用があります。脳内セロトニン量が減少すると、「うつ病」になると言われています。

セロトニンの分泌量が増えれば、メラトニン量も多くなり、睡眠のリズムが整います。反対にセロトニンの分泌量が減少すると不安感が高まり、不眠状態が強くなります。

病気を防ぐ「腸の時間割」


現代社会に生きる私たちは、高度に発達した文明により多くの恩恵を受けています。そのことが、人間に新たな難題を突き付けています。たとえば、医療の発展は、人の寿命を延ばしました。その一方で、死なないけれど治りにくい病気を抱える人が急増しています。その原因の一端に、体内時計の乱れがあると思います。


引用元:東洋経済

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医学博士 藤田紘一郎氏 「腸内細菌の働き」

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