腸内フローラ.com|シロアリは腸内微生物によって高効率にエネルギーと栄養を獲得

腸内フローラ.com | シロアリは腸内微生物によって高効率にエネルギーと栄養を獲得


理化学研究所(理研)バイオリソースセンター微生物材料開発室の大熊盛也室長らの研究チーム※は、 シロアリの腸内に共生するセルロースを分解する原生生物の細胞内共生細菌の多重の機能を解明し、 シロアリが腸内微生物によって高効率にエネルギーと栄養を獲得する仕組みを明らかにしました。

シロアリの腸内微生物は、高いセルロースの分解能力を持ち、食料と競合しないセルロース系バイオマス資源を 活用する上で有効とされています。これまで、腸内微生物の分解能力や分解後の代謝を調べる場合のほとんどが、 シロアリの腸全体を使っていました。しかし、腸内微生物を分離・培養することが難しいことや、 原生生物と細菌が複雑な微生物群集をつくっていることから、個々の微生物がどのように働き、 どのように相互作用してセルロースを有効に利用しているかは、よく分かっていませんでした。

研究チームは、セルロースを分解する原生生物の細胞内共生細菌に注目し、シロアリの腸内に共生する細菌に 特徴的な機能の活性の測定や細胞内共生細菌のゲノム解析を行いその結果、原生生物の細胞内共生細菌は、 セルロース分解時に副産物として生じた二酸化炭素と水素を使って、シロアリのエネルギー源である酢酸をつくり出す機能 (還元的酢酸生成)があることを突き止めました。また、細胞内共生細菌は、セルロースには乏しい窒素源を 空中の窒素を窒素固定して獲得し、固定した窒素を栄養価の高いアミノ酸などに変換する機能があることも明らかにしました。 これらの機能は、原生生物の代謝と密接に協調することで高い活性を示し、原生生物自身の代謝にも有利に働くことが分かりました。

シロアリにとって重要な働きをする原生生物と細菌が細胞内での共生関係を進化させることで、 セルロース資源を有効利用し、足りないものを効果的に補うという高効率な生物システムが、シロアリ腸内に つくられてきたと考えられます。今後、こうした効率的なシステムがセルロース資源の有効利用につながっていくと考えられます。 また、細胞内共生細菌のような培養が困難な微生物の機能の解明によって、自然界に生息する多様な微生物の遺伝資源を活用する道が拓けると期待できます。


引用元:理化学研究所

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