腸内フローラ.com|過敏性腸症候群の新しい食事療法「低フォッドマップ(FODMAP)食事法」、腸内細菌への影響は?

腸内フローラ.com | 過敏性腸症候群の新しい食事療法「低フォッドマップ(FODMAP)食事法」、腸内細菌への影響は?

オーストラリア発の過敏性腸症候群の新しい食事療法「フォッドマップ(FODMAP)食事法」。症状を抑えるとされる。続けると腸内細菌バランスが変化すると分かった。 腸内細菌の利益が注目される中で、注目している人は気を付けたい。
低フォッドマップ食

オーストラリアのモナシュ大学を中心とした研究グループが、胃腸に関する専門医学誌ガット誌の2015年1月号で報告しているもの。 発酵性のオリゴ糖、二糖、単糖、ポリオールをまとめて「フォッドマップ(FODMAP)」と呼ぶ。食事でなるべくフォッドマップを取らないようにすると、ストレスや緊張でお腹が不調になる「過敏性腸症候群(IBS)」の症状をおよそ4分の3の人で軽減できると言われている。 フォッドマップは全て炭水化物。炭水化物は通常、小腸で吸収されるが、フォッドマップはうまく吸収されない場合があり、そのまま大腸へ移動する可能性がある。すると腸内細菌がこれらをエサにして成長や発酵を起こす。お腹の中が刺激されて、下痢や張りなどの過敏性腸症候群の症状が出てくる。このためフォッドマップを除くと有効だという。 このところ腸内細菌の利益に注目が集まっている。逆に、フォッドマップを減らして腸内細菌の成長や発酵を抑えてしまうと、腸内環境に悪影響は出ないのだろうか?研究グループは疑問を感じ、今回検証を行った。
便を比較

対象は、過敏性腸症候群の27人と健康な6人。いずれもオーストラリア人だ。それぞれランダムに2つのグループに分けられ、片方は低フォッドマップの食事、もう片方は通常の食事を提供され、21日間それを食べた。その後、普段通りのオーストラリアで標準的な食事に戻してもらった。 低フォッドマップ食は、1日当たりのフォッドマップ摂取量が3.05g、通常食は23.7gになるように調整した。両グループの食事は、フォッドマップの量以外は同じ内容となっていた。 提供された食事を食べ始めて17日目から21日目までの合計5日分の便を回収した。また、普段通りの食事に戻して21日以上経ち、腸内細菌のバランスも普段通りに戻ったと思われたところでも、5日間分の便を回収した。そして、それぞれの便の酸性度(pH)、腸内細菌の発酵を助ける「短鎖脂肪酸」の含有量、腸内細菌の量と多様性を調べた。
腸の微生物構成に影響がある

結果、通常の食事をしている間の便の検査値の結果は、過敏性腸症候群でも健康でも全て同様だった。 一方、通常食に比べ、低フォッドマップ食で便はややアルカリ性になっていた。また、便に含まれる細菌の種類が通常食よりも増えていたが、全体の細菌の量は減っていた。 さらに詳しく調べたところ、オーストラリアの標準的な食事では、短鎖脂肪酸のブチル酸を産生する「クロストリジウム・クラスターXIVa」および糖タンパク質のムチンを分解する「アッカーマンシア・ムシニフィラ」という腸内細菌が増えると分かった。食物繊維を分解できる「ルミノコッカス・トロクエス」という細菌は減っていた。 低フォッドマップ食は、腸内細菌バランスに変化を起こすと分かった。

問題ない人に推奨できない

研究グループは、過敏性腸症候群でない人には低フォッドマップ食は推奨しないと述べている。また、過敏性腸症候群でも、低フォッドマップ食を長期にわたって続ける場合には、腸内細菌バランスに変化が起き健康に影響が出る場合があることを留意する必要があるとしている。 フォッドマップ食事法は、日本でも実践する人が増えてきている。今回はオーストラリア人のお腹と比較しており、日本食を食べる日本人ではちょっと結果が違うだろうが、気にはしておきたい。
文献情報
Halmos EP et al. Diets that differ in their FODMAP content alter the colonic luminal microenvironment. Gut. 2015; 64: 93-100.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25016597
引用元:Medエッジ

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